データを規律ある形で(整理・共有・再利用できる形で)扱うことは、今や大きな成長要因になりつつあります。AutodeskとDeloitteによる最近の調査では、「データリーダー」に分類される企業は、データ活用が進んでいない同業他社と比べ、年間平均で約50%高い利益成長率を達成していることが示されています。
つまり、データを戦略的資産として扱う企業ほど、利益成長のスピードが明確に速いのです。これは規律あるデータ活用が、無駄を削減して意思決定を推進し、高コストなミスを未然に防いでいるためです。
一方で、現在のAEC業界では、まだまだ活用されていない情報が大量に存在しています。建設プロジェクトで収集されるデータの約95.5%が未活用のままと推計されており、これは極めて大きな機会損失です。データは集めるだけでは利益につながらず、整理され、使われて初めて価値を生むことが、明らかになってきています。
データドリブンとは何か|プロジェクト情報をナレッジへ変える
データドリブンとは、日々のプロジェクトで生まれる情報を、次のプロジェクトに活かせる組織的ナレッジへ変換することを意味します。
すべてのプロジェクトには、知見や工夫されたディテール、課題への解決策といった多くの学びが含まれています。しかし実際には、それらの多くがPDF、CAD図面、メール、個人のメモ帳の中に閉じ込められたままになっています。
真にデータドリブンな企業は、こうした知見を収集・整理し、検索・参照可能な形で蓄積します。その結果、毎回ゼロから考え直す必要がなくなり、過去の知見を活かした設計や、同じミスの再発防止が可能になります。
ある専門家は次のように述べています。
「世界中のデータの大半は非構造データである。だからこそ、それを分析し、行動につなげられる能力には大きな機会がある」
Mikey Shulman(Head of Machine Learning at Kensho)
プロジェクトデータには計り知れない価値が眠っており、その生データを、組織の知見として機能するナレッジへと変換することが、企業の成長を支える鍵なのです。
サイロ化と非効率な引き継ぎの解消
データドリブンを目指すうえで、取り除くべき典型的な障害があります。
その一つが「サイロ化」です。情報が特定の部門、システム、あるいは個人のPCの中に閉じ込められ、組織全体で共有されていない状態を指します。
また、設計から施工、施工から運用といったフェーズ間の引き継ぎが不十分な場合、重要な背景情報や判断理由が失われがちです。さらに、AEC業界では多くの知見が特定のベテラン個人や拠点に属しており、全社的に共有されていないケースも少なくありません。
これらの問題は、プロジェクトの進行を遅らせ、収益に影響を及ぼす可能性があります。調査によると、管理職は平均して週11.5時間(ほぼ1営業日分)を情報の検索や突き合わせに費やしているとされています。こうした摩擦を減らすには、情報を職能や状況に関係なく、全員が同じ情報を参照できる状態をつくること、そして引き継ぎを確実に行うことが不可欠です。
AEC業界におけるデータ活用のあり方
では、AEC業界におけるデータ活用のあり方とは、どのような状態なのでしょうか。
その理想像を描くと、データがバラバラに存在するのではなく、一元的かつ検索可能な形で集約されている状態が見えてきます。
組織全体で共通の分類ルールやテンプレートを定め、誰もが同じ基準で情報を記録・整理します。データが標準化されることで、初めて再利用可能になります。実際、請負業者の41%が「非標準化データは不正確・不整合・再利用不能になる」と認識しており、共通ルールの重要性が浮き彫りになっています。
データが資産になる条件は、次の要素で整理できます。
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Single Source of Truth(単一の正しい情報源)
すべての図面、ドキュメント、レポート、BIMデータが集約されている。サイロを解消し、常に最新情報へアクセスできる -
共通ルール
図面名やドキュメント構成を含む全社共通ルール。例えば「1階平面図」が、すべてのプロジェクトで同じ命名・分類になることで、後から横断的に検索・集計できる -
検索性
AIを活用した高度な検索機能により、設計者も現場担当者も、必要な情報に数秒でたどり着ける
これらが揃ったとき、データは単なる記録から戦略的資産へと変わります。
小さく始め、着実にスケールアップする
データ活用を強化し、収益性を高めたい企業にとって重要なのは、最初から完璧を目指さないことです。まずは一つの業務フローやデータ種別から、効果を確認したうえで拡張していくのが現実的です。
例えば、過去の設計図面やRFIだけを整理・検索可能にするところから始めると、すぐに効果が見えてきます。成功体験が積み重なれば、議事録、現場写真、社内基準へと対象を広げていけます。
最終的なゴールは、洞察に満ちた統合的な業務基盤ですが、それは小さな一歩の積み重ねによって実現します。
Tektomeは、こうした段階的なスケールアップを支援するため、AEC業界向けに設計されたナレッジ基盤「KnowledgeBuilder」を提供しています。
図面・写真・報告書・手書きのメモなどの非構造データをAIで解析・構造化し、検索可能なデータベースへ変換することで、プロジェクトで生まれる情報を次の業務に活かせる状態を実現します。
機能のオンラインデモも公開しています。関心のある方は、こちらのリンクよりご覧ください。