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AIが建築家を支援 ─ 分散した会議メモや要件管理を一元化

建築家が進行中のプロジェクトで直面する大きな課題のひとつに、要件情報がメールや会議メモなどに分散し、かつ常に変化し続ける状況への対応があります。本記事では、テクトムの「ReqManager」に代表されるAIツールが、情報の集約と整理を通じて、設計・施工プロセス全体におけるリアルタイムな可視化・追跡・管理をいかに実現しているかをご紹介します。

2025.07.10

表面化しづらい「規制以外」の課題

建築基準法や関連規制は比較的安定している一方で、プロジェクトごとに発生する指示や調整事項は日々変化します。
設計会議の議事録、クライアントからの要望、社内の品質ガイドライン、外部コンサルタントのフィードバック──これらすべては随時変更される可能性があり、常に更新への対応が求められます。

たとえば、プロジェクトの途中でクライアントから新たな要望が追加されたり、エンジニアが仕様をメールで変更したりするケースは珍しくありません。こうした情報の追跡が行われていないと、会議で合意された内容が知らぬ間に変更されてしまう、といった状況が容易に発生します。

メモの散在が非効率を生む

要件やフィードバックが複数のドキュメントに分散している状態では、重要な文脈が失われやすくなります。プロジェクトの進行に伴い、「誰が」「いつ」「なぜ」意思決定を行ったのかが不明瞭となり、チーム間での混乱や認識のずれが発生します。

RIBA Plan of Work に基づいた業界レポートでは、次のような指摘がされています:

「プロジェクトでは、情報が伝達されても記録されないことが多く、たとえ記録されたとしても、メールにとどまり適切に管理されていないケースが多い。」
— Dr. Stephen Hamil(NBS)

つまり、「信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)」 が存在しないことで、クライアントの指示やコンサルタントからのコメントを、必要なタイミングで的確に引き出すことが困難となっているのです。

よくある課題:

  • フィードバックの分散:クライアントやコンサルタントからの重要な意見がメールや議事録に埋もれ、後で探すのが困難に
  • 変更履歴の欠如:変更履歴が記録されていない場合、誰が何を決めたのか把握できず、新たに参画したチームメンバーが背景を理解できない。結果として連携が断絶されてしまいます
    こうした課題は、プロジェクトの遅延・手戻り・要件逸脱を招く原因にもなり得ます。

AIとReqManagerによる一元管理・要約・追跡

このような課題に対し、AIベースの要件管理ツールが効果的なソリューションとなり得ます。テクトムの「ReqManager」は、プロジェクトにおけるすべての要件と意思決定を一元的に集約し、信頼性の高い情報基盤を構築します。

 

ReqManagerが建築家にもたらす価値:

  • 情報を一元化:分散されたフォルダやメールではなく、会議メモ、チェックリスト、クライアント要件、法規制などを一つのプラットフォームに集約。検索や閲覧も横断的に可能です(今後、メール連携機能も実装予定)。
  • AI検索と要約:自然言語での質問に対して、AIが関連文書を横断的に検索し、要点やチェックリストを自動生成。必要な情報を短時間で把握できます。
  • リアルタイム連携:すべての関係者が同じ最新情報を共有でき、新たな指示や変更も即時に反映。フィードバックや承認もプラットフォーム上で完結し、チーム全体が常に同期された状態を維持できます。
  • 完全なトレーサビリティ:誰が・いつ・どのような変更を行ったかを記録するログ機能(近日実装)により、意思決定の責任と経緯が明確化されます。

これらの機能により、プロジェクトの開始から完了まで一貫した要件管理の対応が可能です。プロジェクトの初期段階では、各部門からのインプット(顧客のニーズ、規制上の必須要件、品質に関する重要な指摘など)を、キックオフ会議直後に正確に記録できます。設計が進行する中で新たな要件や変更が発生した場合も、その都度記録され、たとえばレビューにおける認識のズレを修正するケースにも柔軟に対応可能です。

後工程では、現場での打ち合わせや行政からのフィードバックに基づく最終調整も、適切な文脈を保ったまま記録され、要約情報も自動的に更新されます。こうした情報の進化の全過程が文書化・可視化されていることで、重要な内容が見落とされるリスクを最小限に抑えることができます。

プロジェクト情報を手中に

もし、散在するメモやメールに日々振り回されている建築家・設計者の方がいらっしゃるなら、AIツール「ReqManager」をぜひご活用ください。

プロジェクトに関する知識を一元化し、情報の整理と追跡をAIが担うことで、設計そのものに集中できる環境が整います。

大切な情報を会議メモやメールに埋もれさせず、AIの力を活用して、プロジェクトを確実に前進させましょう。

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