埋もれたプロジェクトの写真と失われる知見
新しい設計を始める際、過去の外装ディティールを思い出したものの、その写真がフォルダのどこにあるのか分からないという経験をしたことはないでしょうか。プロジェクトの写真やドキュメントが無数のフォルダに分散し、必要なときに事実上「見えない」状態になっています。
従来のファイル管理システムや検索ツールでは、正確なファイル名や日付を覚えていなければ検索できないことがほとんどです。その結果、重要な設計ナレッジがアーカイブに眠り続け、簡単にアクセスできないために、同じミスを繰り返したり、ゼロから検討し直す状況につながります。これは非常に非効率で、実際の調査によると、建設業界の労働時間の約13%が、プロジェクト情報の検索だけに費やされているとされています。これは遅延や機会損失を引き起こす無駄な時間です。
KnowledgeBuilderはAIによってデータを構造化することで、フォルダに埋もれている情報を検索可能にし、過去の判断や知見を現在の課題と結びつけます。
KnowledgeBuilderの仕組み
KnowledgeBuilderは、AIを活用して図面・ドキュメント・写真といった非構造ファイルから重要な情報を抽出し、構造化されたナレッジのデータベースへと変換します。
例えば現場写真をアップロードすると、KnowledgeBuilderは自動で画像を解析し、内観か外観か、どのような要素や材料が写っているかを判別し、属性を記録します。
IMG_7532.HEIC というファイル名の画像が「ガラスファサードを持つ高層建築の外観写真」であることを認識したり、ロビーの写真に対して「内観・吹き抜け・オーク材・エレベーターホール」といった空間的・素材的特徴をタグ付けしたりします。さらに、画像の「雰囲気」や「印象」といったメタデータも付与され、視覚データを新しい切り口で検索できるようになります。
KnowledgeBuilderは抽出したい属性をユーザーが設定すれば、そのルールが新しく追加されるファイルにも自動適用されます。そのためあらかじめ属性を定義せずとも、プロジェクト所在地・建物用途・使用材料・よくある課題など、あらゆる情報を整理された属性で構築することができ、これまで隠れていた情報を自然言語で検索できるようにします。
実務での活用シーン|初期検討から詳細設計まで
このAIによる画像検索は、日々の設計業務でどのように役立つのでしょうか。プロジェクトのフェーズごとにご紹介します。
基本計画フェーズ|過去プロジェクトを視覚的に探す
設計初期には、形状・意匠・素材・敷地条件への対応など、過去事例からインスピレーションを得たい場面が多くあります。KnowledgeBuilderは、過去のプロジェクト写真が他のデータとともに構造化されているため、すべてのプロジェクトを横断して検索できます。
例えば、所在地・建物用途・規模などでプロジェクトを絞り込んだうえで、「高層建築 ガラスカーテンウォール モダン」と自然言語で検索すると、条件に合致する外観写真が即座に表示されます。自社アーカイブの中から、洗練されたガラスファサードを持つ高層建築の事例をすぐに確認できます。
内装デザインも同様です。「明るく開放的な商業施設の内装」と検索すれば、AIが文脈を理解し、「内観・商業・吹き抜け・トップライト・明るい」とタグ付けされた写真を提示します。画像の質感や雰囲気も解析しているため、「木を基調とした落ち着いたロビー」「ガラスと植栽を組み合わせた空間」といった抽象的な条件でも検索できます。
※データがどのように抽出されているか、ご興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
詳細設計フェーズ|視覚的な教訓や失敗事例から学ぶ
設計が進み詳細検討に入ると、「以前このディテールをどう納めたか」「この材料で問題はなかったか」といった、より具体的な問いにすぐ答えられます。
例えば、階段ホールを検討している設計者が「トップライトのある階段デザイン」と検索すると、過去プロジェクトの階段・アトリウムの写真が一覧で表示されます。外装ディテールであれば、「木製ルーバー 接合部」と検索し、木外装の納まりを写した写真や注釈付き図面を参照することもできるため、ゼロから考え直す必要がありません。
KnowledgeBuilderは関連コンテンツを結び付けるため、写真だけでなく、その写真が属するプロジェクトの図面や仕様書にも簡単にアクセスできます。手すりの写真から、その詳細図や寸法、注意事項まで一貫して確認できます。そのため、過去の資料を探し回ったり、「○○の事例ありませんか?」と社内で聞き回る必要はありません。
設計業務にもたらす効果
KnowledgeBuilderのアプローチは、何時間もかかっていた資料探しを大幅に短縮します。
本来注力すべき設計業務に時間を使うことができるようになることに加え、すべてのプロジェクト・ファイル形式を横断してAIが検索するため、認知している事例だけでなく「最適な事例」にたどり着けます。
またこれにより、過去の判断や知見が現在のプロジェクトと結び付くことで、より質の高い設計にもつながります。
まとめ
「百聞は一見にしかず」と言われるように、実際の空間やディテールを確認することが重視される建設業界では、画像やドキュメントを検索可能にすることが強力な武器になります。KnowledgeBuilderは、フォルダの奥に眠っている設計・施工プロジェクトの写真を含むプロジェクトデータを、「生きたナレッジデータベース」へと変換します。
KnowledgeBuilderの考え方や具体的な機能については、こちらの製品ページで詳しく紹介しています。
オンラインで機能のデモを公開中!ぜひこちらのリンクよりお試しください