研究者としてキャリアをスタートし、土木工学、シミュレーション、ソフトウェア開発と、さまざまな領域を経験してきたAhmad Alkadri。現在はTektomeでTechnical Product Leadを務め、AIエージェントが建物の3次元空間を理解するための技術開発に取り組んでいます。

もともとソフトウェアエンジニアを目指していたわけではなかったというAhmadは、どのように現在のキャリアへたどり着いたのでしょうか。

これまでのキャリア、Tektomeへの入社理由、現在取り組んでいる技術的な挑戦、そしてAIやBIMによって実現したい建設業界の未来について聞きました。

話し手:Ahmad Alkadri(Technical Product Lead)
聞き手:Quinn Borders(Talent Acquisition Specialist)

研究から建設、そしてソフトウェアへ

これまで、どのようなキャリアを歩んできたのでしょうか?

私のバックグラウンドは、研究、土木工学、シミュレーション、ソフトウェア開発と、いくつかの領域にまたがっています。

ただ、最初からソフトウェアエンジニアを目指していたわけではありません。必要なものを自分でつくっていくうちに、少しずつ現在の仕事へたどり着いた、という方が近いと思います。

フランスで修士課程、博士課程に在籍していた頃から、研究のためにソフトウェアを書いていました。最初は簡単な統計処理のスクリプトで、その後は亀裂の面積を観察・計算するためのツールも開発しました。

実際に手を動かしながら少しずつプログラミングを学び、授業を通じて、実践の中で身につけた知識を理論的に補っていきました。

実務を通じて学び、それを学術的な知識で支える。この組み合わせが、結果としてソフトウェアエンジニアとしてのキャリアにつながったのだと思います。

博士課程を終えた後は、どのような仕事をしていましたか?

博士課程修了後は、ルクセンブルクのスタートアップにシミュレーションエンジニアとして入社しました。当初は、土木工学で一般的な熱計算や構造計算などを担当していました。

そこから仕事の領域が広がり、最終的には会社の主要なERPツールにも携わるようになりました。

そのシステムは、プレハブ住宅の製造や組み立てを自動化し、実際の製造ロボットとも直接つながっていました。

自分自身や数人の同僚が使うツールをつくるのと、お客様向けに実際の工場で稼働するシステムを開発するのとでは、求められるものがまったく違います。

工場では、一つのバグが生産ライン全体を止めてしまいます。そして、生産が止まっている時間そのものがコストになります。

実際、工場の生産ラインはエンジニアより早い時間から稼働していたので、早朝に「バグで生産が止まった」と連絡を受け、工場へ向かって修正したことも何度かありました。その時点ですでに1時間以上、生産が止まっていることもあります。

そこで、システムの信頼性がどれほど重要なのかを実感しました。

人とAIが一緒に問題を解決する仕事がしたかった

Tektomeへの入社を決めた理由は何だったのでしょうか?

一つは、日本にある会社だったことです(笑)。

ただ、本当の理由はもう少し深いところにあります。

以前から、AIエージェントを活用したソフトウェア開発に関わりたいと考えていました。これからは、人とAIシステムが一緒に問題を解決していく時代になると思っていたからです。

研究、建設、住宅の製造と、これまでさまざまな仕事を経験してきましたが、自分の中で一貫しているのは、つくったものによって実際に人の役に立ちたいという思いです。

Tektomeなら、その実現にもっと近づけるのではないかと感じました。

入社後、役割はどのように変化してきましたか?

Software EngineerからTeam Leadを経て、現在はTechnical Product Leadを務めています。Tektomeでは「今ではみんなProduct Engineerみたいなもの」と冗談で話すこともあります。

振り返ると、この変化は自然なものでした。

最初は一人でツールをつくり、その後はリードやシニアエンジニアのもとで、チームの一員としてより大きな開発に携わりました。そこから自分がエンジニアを率いるようになり、現在は製品そのものをつくるところにも深く関わっています。

役割が変わるたびに、見える範囲も広がっていきました。

プロダクトに関わることで、エンジニアリングだけではなく、Tektomeのプラットフォーム全体をより深く理解する必要があります。同時に、お客様が本当に必要としているものは何か、どの課題を解決することに価値があるのかを、より近い距離で考えるようになりました。

現在のTektomeは、一つのプラットフォームと、その中で動く複数のアプリケーションにフォーカスしています。私はその一部の開発に携わっています。

AIエージェントに、3次元空間を理解させる

現在、Tektomeで特に取り組んでいる技術的な課題は何ですか?

特に興味を持って取り組んでいるのが、AIエージェントに空間を認識させることです。

AIエージェントは、文章を読んだり、テキストの内容を理解したりすることには優れています。一方で、空間を理解することはまだ得意ではありません。

しかし、AECの仕事では空間を理解することが非常に重要です。

あるオブジェクトの後ろに別のオブジェクトがあったり、複数のオブジェクトの間に何かが配置されていたり、配管が壁を出入りしていたりします。

こうした確認作業の中には繰り返し行われるものも多く、本来であれば自動化したり、AIエージェントに任せたりできる可能性があります。ただ、そのためにはAIが3次元空間を理解できなければなりません。

AIエージェントが周囲の状況を認識し、3次元空間の中で動作するために必要な空間認識や計算の仕組みをつくる。それによって、現在エンジニアが手作業で行っている反復的な3Dの作業を、AIエージェントが支援できるようにすることを目指しています。

テクノロジーで、建物をもっと身近なものに

AIやBIMは、これから建設業界をどのように変えていくと思いますか?

期待しているのは、まずスピードです。そして、それを適切に実現できれば、コストも下げられると思っています。

AIによる自動化やデジタルトランスフォーメーションがさらに進めば、建物をつくるためのコストや、住宅を手に入れるためのコストも下げていけるのではないでしょうか。

私にとって重要なのは、そこです。

住宅は投機のためのものではなく、人が暮らすためのものだと思っています。

住宅を必要とする人が増えていくのであれば、より良く、より効率的な方法で、より多くの住宅を供給できるようになるべきです。

研究から建設、工場、そしてソフトウェアへと仕事の領域は変わってきましたが、テクノロジーそのものを目的にするのではなく、それによって人にとって必要なものを、もっと手に届きやすくしていく。

これからも、そうした仕事に取り組んでいきたいと思っています。


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